コウノメソッドとは
コウノメソッド(Kono method)は、陽性症状の強い認知症でも家庭介護が続けられるように薬剤を処方することを最優先として、認知症の行動・心理症状(BPSD Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)を、陽性症状、陰性症状、および中間証に分類し、それぞれに最も適した薬剤を極力少ない副作用で処方する、認知症を治療する対処療法・薬物療法マニュアルです。
河野和彦(医学博士、認知症専門医)医師によって2007年に提唱され一般公開されました。
河野和彦先生の紹介はこちら(外部サイト)
コンセプトは下記の3点です。
1. 家庭天秤法:薬の副作用を出さないために介護者が薬を加減すること
認知症認知症の陽性症状には抑制系薬剤を、認知症の陰性症状には興奮系薬剤を、副作用を生じさせない量で処方します。
認知症の患者さんもご家族は抗認知症薬の杓子定規な増量規定に長年苦しめられてきましたが、薬の用量については、もっと柔軟に
考えるべきだと考えます。
そこでコウノメソッドでは 医師から処方された薬の用法・用量については、医師の指示を100%遵守する必要はなく、介護者が患者さ
んの様子を見ながら適宜加して良いということにしています。
なぜなら、その処方量は必ずしも医師が決められるものではなく、介護者が認知症患者(家族)の日常の様子を見ながら、適宜調整する必要があるからです。
副作用を出さすに症状をしっかり改善していくには、患者さんに一日24時間接しているご家族の協力が必要であり、そのためにはお薬の勉強もしていただく必要があります。
2. 介護者保護主義:患者と介護者の一方しか救えないときは介護者を救うこと
1人の認知症患者さんがいるとすれば、その背後には必ず介護しているご家族がいるはずです。
ご家族にとって、その負担は小さくないはずです。
ご家族の多くは「認知症の進行そのものを止めてほしい」よりも「穏やかで平和な毎日を過ごしたい」と希望される傾向が多いです。
認知機能が衰えていくのは仕方がない。
それよりも、多少衰えていてもいいから、徘徊したり、暴力を振るったりするのではなく、いつもニコニコ笑っている普通のお年寄りに戻ってほしい。
これが、ご家族の本音だと思われます。
コウノメソッドでは、ご家族が倒れてしまっては共倒れになってしまう恐れがあることから、患者さんと介護しているご家族のどちらか一方しか救えない状況の時は、迷わずご家族を選択します。
そこで、コウノメソッドでは、まずは介護者に寄り添いながら、誰もが楽になる薬物治療を行います。
患者と介護者のどちらかしか救えない時は、介護者を救います。
記憶力を高めることより、穏やかにさせる薬を優先させる。
コウノメソッドでは、生化学や薬理学、病理学から得られた知見や発想を患者や介護者の存在を無視してそのまま押しつけません。
患者さんと家族の日常生活を送られている介護の現場を意識した処方体系を行います。
3. サプリメントの活用:良いと思える健康食品は併用する
コウノメソッドではサプリメント(健康補助食品)も活用します。
コウノメソッドにおける主要なサプリメントの成分は、フェルラ酸・ガーデンアンゼリカ、ルンブロキナーゼ(赤ミミズ酵素)を含む赤ミミズ乾燥粉末、そしてタキシフォリンです。
数多くのエビデンスを持つ主要なサプリメント成分
・フェルラ酸(米ぬか由来)・ガーデンアンゼリカ(西洋トウキ)
フェルラ酸は植物由来のポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を持ちます。
・ルンブロキナーゼ (食用赤ミミズ由来)
ルンブルクスルベルス種(食用赤ミミズ)などに含まれるたんぱく質分解酵素です。
・タキシフォリン(カラマツ由来)
天然フラボノイド系ポリフェノールで、抗酸化作用や抗菌作用を有すると言われています。
特徴から診る認知症
認知症の方は、それぞれに特徴があります。
その特徴を見極め、判断することも可能です。
① レビー小体型認知症」の特徴と「前頭側頭型認知症(ピック
病・意味性認知症)」の特徴を知る。
② 患者さんの状態を見て(「診て」では無い)「レビー小体型認
知症」か「前頭側頭型認知症(ピック病・意味性認知症)」か判
断(「診断」では無い)する。
③ レビー小体型認知症」と「前頭側頭型認知症(ピック病・意味性認知症)」で無ければ「アルツハイマー型認知症」と判断する。
④ レビー小体型認知症」と「前頭側頭型認知症(ピック病・意味性認知症)」が混在していれば「LPC(Lewy Pick complex:レビー小体型
認知症とピック病の混合型)」と判断する。
コウノメソッドは発達障害や神経難病にも対応できることがあります
河野先生の30年を超える認知症研究の結果、想像以上に認知症の患者さんのなかに”発達障害”を抱えている方がいることが判明しました。
また、コウノメソッドで認知症が良くなった患者さんや介護家族から「孫も診てほしい」と頼まれたり、知人から紹介されたりする形で発達障害のお子さんを診る機会も増え、その結果、コウノメソッドが発達障害にも有効であることが確認できています。
脳の神経細胞が変性することで発病してパーキンソン病のように体の動きがぎこちなくなることから、パーキンソン症候群に分類されることもあります大脳皮質基底核変性症(CBD)と進行性核上性麻痺(PSP)は、名古屋フォレストクリニックにおいてこれまでに150例以上の治療実績があり(2021年4月現在)、僅か15分の点滴で車椅子で来られていた患者さんが自分の足で歩けるようになった症例もあります。
点滴による歩行改善は一時的な効果のために繰り返し点滴を行う必要はありますが、このようなミラクルはご家族に希望を与えることができ、今後の介護に対するエネルギーとなりモチベーションが高まります。